アコースティックギターのボディ加湿、除湿処理
ギターの修理の中にネックリセットというものがあります。
ネックがハイ起き(元起きとも)し、弦高が高くなりすぎて演奏が困難になってしまったりした際に行われる修理です。
アコースティックギターを簡略化した図1~3を用意しました。(かなり極端に描いております。)指板の状態にご注目いただければと思います。
図1が正常な状態のギター。
図2がハイ起きした状態のギター。
そして図3がボディが膨張したことによりハイポジションが起き上がっている状態のギターです。
ネックリセットが必要なギターは図2のものになります。
しかし何百本とアコースティックギターを見てきた中でハイ起きといって持ち込まれたギターの99%は図3の状態でした。
ネックを上から見てネックの反りを確認するだけでは判断がしづらいパターンも多く、ギター全体を見たうえで判断が必要となります。
多くのアコ-スティックギターが湿度の変化によるボディの膨張、収縮の影響を受けており、海外製の物は特に顕著に思われます。
ボディが湿度を吸って膨張した際には音がボワついたり、弦高が高くなり弾きづらくなったり、ボディの膨張についていけずピックガードが剥がれてしまったりします。また、最悪の場合ボディトップとブリッジのカーブが合わなくなりブリッジの剥がれにつながります。
逆にボディが乾燥しすぎてしまい収縮した際には弦高が下がりすぎて音が出なくなってしまったり、ボディに余裕がなくなりうまく振動しづらくなったり、最悪の場合木部に割れが発生してしまいます。
長々と説明してきましたが、これらを本来あるべき状態に戻すためにボディを加湿、除湿する修理になります。
この修理には多くの経験が必要で、加湿しすぎたり、除湿しすぎたりすると多くの不具合につながります。
また、修理後にお客様にお返しした後にも継続的に管理をしていただくことでギターをより良い状態に保つことが可能となります。
そのためのアクセサリーもご用意しておりますのでボディの状態が気になった際はお問い合わせください。
図1

図2

図3
